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主な議論の内容
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まず、孤独孤立の背景をしっかり共有したいと思います。
1人でいることが、孤独や孤立という定義が置かれるわけではありません。自ら進んでその環境に身を置いている人もいますし、どうして孤独や孤立対策が必要になってきたのか。
そもそも、社会構造の変化が大きかったと私は認識しています。会社、地域、そして家族との繋がりここがバブル崩壊以降、とりわけこの20年ぐらいで大きく変化をしてきた。さらに、コロナが追い打ちをかけている。
また、地域社会においては、高齢者の単身世帯、これも大きな問題になっていると認識しています。
孤独孤立が深刻化した背景を私はそのように感じておりますが、政府の認識をお答えいただきたいと思います。
我が国におけます孤独孤立の背景でございますけれども、人口減少、少子高齢化、核家族化、未婚化晩婚化が進展いたしまして職場家庭地域におけます、人と人との繋がりや人間関係、この希薄化といった社会構造の変化によりまして、人々が生きづらさや孤独孤立を感じざるを得ない状況も社会へと変化してきたことなどがあるというふうに認識をしてございます。
孤立や孤独に陥って、その方を社会が発見をして、そこにアプローチをしていくっていうのは、簡単そうで難しいですよね。なので、一番の肝心なのは、孤独や孤立に陥らないためにどういうアプローチが必要なのか、予防的なアプローチが必要だと思うんですね。社会がいつでも助けてくれるっていうのは、セーフティーネットとしては必要なんですけれども、個人の人生の哲学として、やはり自助、共助、公助というものをしっかりバランスのとれた認識が必要だと認識しています。この予防的なアプローチについての見解をお答えいただけますか。
孤独孤立の問題やそれから生じる更なる問題に至らないようにする予防の観点、すなわち孤独孤立を生まない社会をどのようにつくるのかということが重要だということで進めております。人と人との繋がりを、それぞれの選択のもとで、緩やかに気付けるような社会環境作りといたしまして、居場所の確保など、また孤独孤立の当事者や家族などが支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気づきや対処できるための環境整備を推進しているところでございます。
人と人との緩やかな繋がりっていうのは本当にポイントだと認識してます。
しかし、この緩やかな人と人との繋がりが非常に困難になってきている現実っていうのもしっかり見なければなりません。やはり、既存の地域社会を守ってきたボランティアベースの仕組みでは、今後、これまでの社会とこれからの社会では、どうしてもうまく繋ぎ合わせができないという状況が、ある程度全体で共有できているんじゃないかなと思います。
一方で、例えば日本人の文化としてあると思うんですけれども、敷居を跨いでとやかく言われたくない人、家庭の中で支援を受け、支援を受けることに対して相当抵抗感を持っている人は多いんじゃないかなと。
そんな中で、この孤独孤立対策にある見守り体制を通して、当事者たちの孤独孤立が、この見守り体制でどのように和らいでいくのか、その見解についてお答えください。
多様な形がある孤独孤立の問題に対応する上では、行政機関や支援機関だけでは対応が困難な実態がございまして、更なる連携が必要だということでございます。
官民、NPOなどの多様な関係者の連携協働のもとで地域の実情に応じて、孤独孤立対策の施策を講じていくことが重要であろうというふうに考えてございます。
情報共有は非常に大切だと思います。いわゆる行政がどこまで把握ができるのかっていうことも含めて、NPO等の団体を通して地域事情を把握していく。
この孤独孤立を考えたときに、どこまでが制度設計に含まれていくのかが私は一番肝心要だと感じています。本来、孤独死までを孤独孤立対策に含めるべきだと感じています。
現状の孤独孤立対策は、先ほど申し上げた通り、予防、それから実際に孤独孤立になってしまった人、さらには相談支援の場所とかそういった柱があるんですが、私は孤独死まで含めて制度設計することが法律対策だと認識しておりますが、大臣の見解をお願いいたします。
現在、関係省庁が連携して身元保証や日常生活支援、死後事務等を契約に基づいて行う事業者に関する高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの策定に向け取り組んでいるところでございます。
孤独孤立の問題の背景にある、単身世帯の増加など社会構造の変化をしっかりと踏まえながら、こうした取り組みも含め、引き続き関係省庁と連携しながら、政府一体となって孤独孤立対策を推進してまいります。
日本は単一の宗教がありませんので、統一された死生観を我々が持っているわけではありません。だからこそ「どういう死を迎えるのか」までしっかりと含めて対策をしていくことが重要です。
亡くなっても身元がわからないから、ご遺体が葬儀屋だったり、行政のもとで冷凍保存されてしまっている事例、いま東京だけでも何千何万っていうご遺体がその状況にある。これはやはり、非常に負担になっていると思うんですね。
そういう意味では、孤独死まで含めた制度設計をしたときに、単身の高齢者が誰に連絡するかがしっかり繋がっていないと、実際にはそういう状況が生まれてしまいます。ここの課題というのはどういう認識ですか。
単身高齢世帯の増加が見込まれ、孤独孤立の問題の進行が懸念される中で、一部の自治体におきましては、その身寄りのない高齢者の方の死後の問題等に関する支援といたしまして、緊急連絡先などの登録を受け付ける先進的な取り組みもあるというふうに承知をしております。
個人情報の問題など様々な課題があるというふうに考えてございまして、慎重に検討すべきものというふうに考えてございます。
確かに個人情報の観点、個人情報保護の観点で必要だと思うんです。
しかし、事前にルールを作って制度化してれば、行政や亡くなった方のご家族に降りかかるコストを避けられたにもかかわらず、(制度化せずに)手をこまねいてしまうというのは非常に勿体ないと思います。
ぜひ、単身高齢者、身寄りがないと思われる方と行政がしっかりと繋がって、実際にことが起きたときに誰にどういう連絡をすればいいのか、まで結びつけていただきたいと思います。
その上で、先ほど申し上げた、家族の了解が得られず、ご遺体が冷凍保存されてしまっている事例に少し触れさせていただきました。これいよいよ、こういった方について葬儀をルール化すべきじゃないかなと思うんですが厚労省の見解をお願いします。
ご指摘のご遺体の引き取り手がない場合についてでございますけれども、現行制度では、市町村等が埋葬また火葬を実施するということにされています。その際市町村におきまして等におきましては、ご遺体の身元や親族等の有無について確認する必要がまずございますけれども、こうした確認の実施ですとか、その間におけるご遺体の取り扱いにつきまして実態を把握するため、厚生労働省といたしまして、取り扱いの実態や課題に関する調査研究事業を実施することとしております。
当然、火葬するにも費用はかかりますし、それをどういう負担をしていくのかということも含めてやはり制度化ルール化していくことが望ましいと思いますので、調査研究の結果を待ちたいと思います。
この孤独孤立と、私は切っても切れない関係だと思っているのが、境界知能です。
この境界知能の帯域にある皆さんは、認知力があるからこそ人との違いを理解しているので、どうしてもその違いにさいなまれて、2次障害、うつとか、適応障害になりやすく、引きこもりとか、不登校とかそういう事象も起きやすい。
大臣にお伺いさせていただきます。いま私がお伝えした通り、境界知能の帯域にある皆さんの特性として、僕は孤独や孤立に陥りやすいと考えているのですが、大臣の見解を教えてください。
境界知能にある方々が日常生活や勉強・仕事・人間関係などで困難を抱え、生きづらさを感じているというご指摘があることについては承知をしてございます。
境界知能にある方が、孤独孤立に陥りやすいとそのまま直接言えるかどうかはさて置き、生きづらさを抱えておられる方も含めて当事者等が支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気づきや対処できるようにするための情報発信ですとか、広報啓発等の環境整備、こういったことを推進していくことが肝要かなというふうに考えてございます。
境界知能にある皆さんというのは、日本全国で13%と言われています。1,500万人ぐらいです。昔と今では、境界知能のパーセンテージが広がってるエビデンスは見たことないんですね。
つまり、昭和平成令和と、いつの時代でも大体10%前後は一般的に境界知能の皆さんはいて、そういう人たちが職にあぶれず、そして自分たちが過ごしやすい環境に基づいて、人生を全うしてきた時代っていうのはこういう問題が表出しないわけです。
だから私は、平成のタイミングで、一般的に日本国民は大学を出て、ある種の知的労働につくのが一般のルート、そして美徳になっていたんじゃないかなと認識してます。
本来は、その人に合った働き方や適性のある職っていうものがあるはずで、境界知能にある帯域の人たちでも働き続けることが容易だった時代、それから職種というのがあったはずなんです。
そういう意味では、私はこの1500万人とも言われる境界知能の皆さんが、新たな適性のある職を見つけて働いていくことが、日本の産業における働き手不足、そして、こういった孤独や孤立に陥りやすい人たちが生きづらさから転換していくきっかけだと思うんですね。
そういう意味では、しっかりと境界知能の帯域の人たちを日本全体が専門性を持って支援していくことで、日本の底上げに繋げていただきたいと思います。
私の質問を終わります。ありがとうございました。
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